FAのバリュエーション、M&A仲介のバリュエーション

私はFAとM&A仲介を両方経験しているが、両者のバリュエーションについての考え方が全く違うのに驚かされた。

何が違うのかというと、FAのバリュエーションは学術的に認められた複数の手法を用いて、案件着手の初期段階で厳密に行うのに対して、M&A仲介は各社独自の手法で純資産を重視したものを実施していることが多い。

特にM&Aセンターが開発したとされる「3か年平均EBITDA(あるいは3か年平均営業利益)×5倍」や「純資産+営業権(営業利益3年分)」等という理論上、どう考えてもメイクセンスしない手法が平気で用いられている。

これだけならギリギリわかるものの、「純資産+営業利益×(3年+業界PERの1/10年)というのを最近見かけて驚いたのだが、これはこれで売り手と買い手の納得感を演出するにはよいかもしれない。

M&A仲介の場合は、オーナー会社同士の需要と供給と仲介プレーヤーの調整で価格が決定するためコーポレートファイナンスの考え方などどうでも良く、わかりやすさと納得感が重要なのだと思う。

余談であるが、M&A仲介の人はバリュエーションのことを”バリエーション”という人が多くてドン引きした。それはvariationだろうと突っ込んだのだが、種類が多いという意味では”バリエーション”というのも間違っていないかもしない(違)

そのほかにもたくさんのパターンを見てきました。仲介手数料をバリュエーションに含める場合、資本金を基準にする場合、なんとなく10億円の場合。そのたびにFAとしての考え方の乖離を感じるものの、適正価格という意味ではあまり乖離を感じたことがない。

やはり、自分のお金がかかっていると売り手も買い手も、プロセスはさておき、自分の実入りは真剣に考えるということだろうか。